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2020/03/26 21:02

こんにちは。

異色文房具・擬態クリアファイル。

その誕生のいきさつとともに商品を紹介します。

きっかけはイベント出展

話は蜜林堂として事業を始める数年前にさかのぼる。

当時始めたばかり(今も低空飛行のまま続いています)の「ボルネオの生物多様性データベースを先住民と作る活動=バルネオ・カメラプロジェクト」ために、生きもの好きがたくさん集まるイベントに出ることになった。ただ、そのイベントはオリジナル商品の販売が条件だったので、何かを作らなければいけなくもなった。「熱帯雨林の生きもの⇒擬態がすごい」という短絡的な思いつきで、擬態に関するものをつくろうと、ぼんやり考えた。

ものづくりは好きなモチーフや得意なスキルを生かしてやるのが一般的だろう。擬態という形のないものが、特別な技術も無い自分の手でどう商品に変換されるのか、よく分からなかった。なんとなく印刷物なら簡単にできるかな程度に考えていた。

あらためて擬態生物の写真を眺めていると、擬態を見破ろうとしているときと、見破った後に擬態のディテールを眺めているときに、心がわくわくしていることに気がついた。幸い、過去に自分が採りためていたボルネオの生きものの写真がある。「写真を使おう」「擬態をぱっと見破れるような何かをつくろう」という方向が決まった。

たまたま手元には少し変わったクリアファイルがあった。表には自動車、裏にはその内部構造が印刷してあり、重ねるとクルマのレントゲン写真のように見える。紙を挟むと、自動車と内部構造が切り離され、表と裏に別々に見ることができる。

「これ、使える」

紙を挟むと生物が見えて、はずすと背景に擬態するクリアファイル。シンプルだけど、擬態ってそういうことだ。これならできるかもしれない。

印刷会社に問い合わせると、内側の面にも印刷可能だという。背景と生物を別々に印刷し、重ねて一枚の写真として見ることができる。決まった。

なれないフォトショップ(後にイラストレーターが適していることを知る)に悪戦苦闘し、すごすぎる擬態にしばしば生き物と背景との境界を見失いながらも、なんとかイメージどおりのものが出来上がった。光にかざしてみると、表面の反射が消えて、生き物が背景にいっそう溶け込んで見える。

「お~(ニンマリ)」

こうして、世界初?の擬態と文房具が融合した商品「擬態クリアファイル(R)」誕生した。


この写真の中にカエルがいます。

擬態もすごいが写真もすごい

擬態クリアファイルは、写真のクオリティーをほめられることが多い。当然だ。全部で8種類あるクリアファイルのうち6種類は、ボルネオで活躍する自然写真家 Ch’ien C.Lee氏の写真を使わせてもらっている。以前にボルネオで何度が会った事がある私を覚えていてくれ、クリアファイルでの写真使用について相談すると、写真に加工を施すことも快諾してくれた。写真の技術はもちろん、知識も体力も一流のプロフェッショナル。ぜひ一度彼のHP(https://photos.chienclee.com/)を見てほしい。傑作が目白押しだ。

ちなみに、残り2種(カエル、ナナフシ)は私が撮影した写真だ。僭越ながら。

新たに高透明素材を採用

昨年新たに印刷したヤモリ、ニシキヘビ、カマキリ、カレハバッタ、ヨタカについては、高級素材である高透明素材を採用し、光にかざさなくても、背景と一体に見えるようにバージョンアップしている。お値段は据え置きだ。普通のクリアファイルとの透明度の違いを比べてみてほしい。


苔に擬態するナナフシ

仕事に学業に

もし手に取った方は、じっくりと擬態のすごさを眺めてみてほしい。そして遠いボルネオの熱帯雨林と、この姿に至るまでの進化の長い年月に少しだけ思いを馳せてみてほしい。そして、上司に稟議書を、先生にレポートをこのクリアファイルとともに提出してみてほしい。

これまでの経験で、老若男女問わず、擬態好きがけっこういることが分かっている。苦手な相手と意外に話が弾むかもしれない。


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